Monday, February 20, 2006

伝説の音調津

あれは確か3~4年前。
伝説の日になろうとは誰も考えていなかった・・・

その日、サーフィン仲間のトシ・アキヒロと台風が接近している情報を入手し、広尾に向かう計画を立てていた。
サーファーであればもちろんであるが、台風の波に乗りたいのは当然である。
仲間のトシ・アキヒロは海外での経験も豊富で、この日を待ちわびていた。

いつものようにアキヒロのチェロキーでいざ出発!
札幌インターから1時間くらいのところに、苫小牧・浜厚真ポイントをまずはチェックしてみたが
波が大きすぎてクローズ状態である。

この日の台風は中心の気圧が965hpsで台風が発達して太平洋側を通過していた為、強烈なうねりが、太平側全域に波をもたらしているのである。
海上の波の高さは、ゆえに6mを超えていた。
超メガトン級のストームの到来である。

一路、太平洋を南下していくと共に、波のサイズがどんどんアップしていく。
いつも割れていないポイントでも、ヘッドオーバーの波が割れている。
仲間のテンションも音楽のボリュームも上がる。

最初に浦河にあるシークレットポイントをチェックするが、ダブルオーバー近いサ
イズがあり、なおかつ風の影響も受けているため、サーフィンができない。

浦河から広尾にぬける黄金道路も普段の台風なら少し波しぶきが上がるくらいだが今日は違う。
まともに車が走れないほどの波しぶきが海岸線上に2m近く上がっている。

こんな広尾は初めてだ・・・
でかすぎる・・・
あれは山か?

ビックウエーバーのトシも絶句する。
いつもテンションが高いアキヒロも、いつになく口数が少ない。

札幌から6時間近く離れた広尾まで来て、このままサーフィンもしないで帰るのはゴメンだ。

とにかく海に入りサーフィンをしたいが、でか過ぎて入れるポイントがない。
波がなくてサーフィンができないのではなく、波がでかすぎて入れないのだから、サーファーにとっては幸せなことだが・・・

台風直撃の影響でほとんどのエリアでクローズしていたが、唯一”音調津ポイント”だけが風の影響も少なくできそうだ。

波のサイズはセットでダブルオーバー
沖にある防波堤には波があたり、6メーター近く波しぶきが上がっている。

セットの間隔も短く、なおかつサイズ以上にのパワーがいつも以上である。
まともにインパクトで波を食らうと命の危険さえ感じるほどの波である。

もちろん、だれ1人入っていない・・・

今考えれば、こんなでかい波に入ることすら危険であるが、波乗り特攻隊長の私はこのでかい波に挑戦することを決め、ウエットに着替えた。
仲間のアキヒロ・トシもさすがに、入らない。 
なにかあってもおかしくない状況。
一歩間違えれば、確実に死ぬ。。。
ただ、どこかでこの波に乗れる自信はあったのは不思議である。

とにかく気合を入れて入れていくしかない。
波のセット間隔を見計らい、少しでも波にもまれないように、カレントを使ってゲッティングアウト

アウトに出ると、山のようなセットが割れている。
正直波が大きすぎたため、どのを乗っていいのかもわからず、アウトサイドで10分ほどが立つ。 こんな波でワイプアウトでもしたら、体ごと洗濯機にもまれる騒ぎでは済まされない。
体が何個あっても、持たないような波である。
過去最大級のメガトン級の
絶対に乗ってやる。
そう思い、気持ちを落ち着かせた。

次の瞬間、沖から形の良いセットが割れてきているため、沖にパドリングをしてタイミングを合わせテイクオフした瞬間・・・

ピークから振り落とされ、気づいたら波にもまれていた。。
まずい。
グルングルン・・・
海中のなか、息も出来ない状態のまま波にもまれまくった。

とにかくインパクトにいると危ないため、急いでドルフィンスルーをしアウトに出る。

山のようなセットが次々と入ってくる。
正直、怖かったがここで上がるわけにはいかない。
陸では、トシとアキヒロが心配そうに見ている。

気持ちを落ち着かせ、セットの波を待った。
形の良い波が入ってくるのが見えたのでを追いかけ、タイミングよく今度はテイクオフ

波のピークから、落ちるようにボトムを目指しそこからボトムターンで一気に波のトップへ当て込む。

今までにも、インドネシアのヌサドゥア・鎌倉の七里ガ浜などのビックウエーブの経験はあったが
この日の、音調津は過去最大のストームだったかもしれない。

その日の夜、広尾町の民宿に帰り、トシの寝言の、”デケー”の一言に爆笑
翌朝の広尾川河口ポイントにトライし、ゲッティングアウトをしたが、わずか5分ほどで200メーター近く流された、伝説を持つサーファーである。

また、違うポイントの目黒川河口においても、誰一人ゲッティングアウトできない中、アキヒロは一人ゲッティングアウトできそうであったが、あのままゲッティングアウトしていたら帰らぬ人となっていたかもしれない、伝説のサーファーである。

今回のサーファー

藤田 俊則・・・北海道を代表するトップアマチュアサーファー。 小さい頃から海の近くに住んでいたが、いつも遊んでいた海がサーフポイントだとしったのは、20歳の時
得意技・・・フローター・チューブ・右ボディ
いままでに行った海外・・・バリ・レンボウガン島
好きなポイント・・・ピッチャーポイント(バリ)・日本海全域

高橋 章宏・・・生まれも育ちも神田の江戸っ子。 学生時代に北海道に来ることになり、独自の感性と持ち前の愛嬌で、我がサーフブレーンの特攻隊長。
でかい波の時は必ずと言っていいほど、この人はいる。
言わずと知れた、ビックウエーバー
得意技・・・カットバック
今までに行った海外・・・オーストラリア・バリ・レンボウガン島・ハワイ
好きなポイント・・・一の宮・部原(千葉) ヌサドゥア・チャングー(バリ) ニューカッスル【オーストラリア

吉田 拓摩・・・17才の時に初めてサーフィンと出会い、サーフィンを始めそれからサーフィンにはまる。
19歳の時に、北海道から静岡に拠点を移しサーフィン三昧の日々を送る。
得意技・・・テイクオフ・ローラーコースター・右ストレート
今までに行った海外・・・バリ・オーストラリア・ハワイ・ロンボク島・レンボウガン島
好きなポイント・・・アラモアナ・ボウルズ(ハワイ)・バイロンベイ・タロウズ・-ニューカッスル(オーストラリア)クラマス・チャングー・クタ(バリ) 御前崎・シャーク(静岡) 多々戸(伊豆) 茅ヶ崎・辻堂エリア 一の宮(千葉) シカッティー・フンベ・目黒川河口・(北海道)

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